一瞬の出来事

いつものように夕方散歩に出た。
息子を乳母車に座らせ、もちろん私が後ろから押して。

いつものように円形交差点の手前の横断歩道(信号なし)を渡る際、ちゃんと手前で止まっている(交通渋滞の時間帯なので)車の運転手の目を見て、「今から歩道を渡ります。」と合図を送りながら渡っていた。

すると目の前にいきなりまるで瞬間移動でもしてきたかのように大きな車が飛び出してきた。
2車線目の車がスピードを出したまま、歩道の私達に気づかず交差点前の歩道上でストップしたのだ。

息子の乗っている乳母車の50cmほど先に。

私がたった一歩でも早足で渡っていたら乳母車ごと息子は飛ばされていただろう。

心臓が止まるようだとよく言うが、まさにその瞬間私の身体の全てが止まっていた。
何もできなかった。悲鳴を上げる事も、怒る事も。

無意識に歩道を渡り終えたものの、その後も乳母車を握り締めたまま頭の中が真っ白だった。

数時間たった今もまだ感覚が麻痺しているよう。

息子の寝顔を見ながらただ生きている奇跡を感じる。

なんだか消化できないのでこの出来事は記しておかねばと思った。

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